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空想科学ゼミ SEMINAR

疑問を抱き、材料を集め、自ら考える

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研究報告
『はなさかじいさん』灰をまいて桜を咲かせることは可能か?
(ザキオカ・滋賀県立河瀬高校2年)
疑問
灰から桜を咲かせることはできるのか

昔話紹介

『はなさかじいさん』は、優しくて正直者のお爺さんが、かわいがっていた子犬の力を借りて、大判小判をざくざく掘り出したり、枯れ木に灰を撒いて花を咲かせたりするが、それを羨んだ隣に住む欲深いお爺さんが真似をしたところ酷い目に合うというお話。

材料と検証

灰は元々鎌倉時代から肥料として利用されてきた。

灰には、カルシウム、マグネシウム、カリウムをはじめとして、珪素(けいそ)、ナトリウム、マンガン、ゲルマニウムといったミネラルが含まれており、即効性のある肥料として利用されている。

また、遺灰というのは、世界中で「生」と「死」を仲立ちする象徴とされており、宗教的に祀られる聖人の遺灰や、不死鳥が灰から蘇るという伝説などもあるようです。

結論と、それにより物語はどう変わる?

木そのものに灰をふりまいても何も起こらないが、灰は即効性のある肥料となるという点から、少し大げさには書いてあるが、桜が早く育つのではないかと思った。

まいた灰がよい肥料となり、きれいな桜が咲きました。

柳田理科雄のコメント

「灰が肥料になったのではないか?」という発想から、その歴史、成分、宗教的な意味まで調べ、内容の豊かな研究となりました。

なかでも「たちまち桜が咲いた」という驚きの現象に、「灰の肥料としての即効性」を対応させている点に、思考の「切れ」を感じます。「少し大げさには書いてあるが」という冷静な分析もいいですね。何百年も昔のことですから、確かに大げさに伝わっているのかも知れません。このように、条件を少し緩めると、可能性が大きく広がります。

ザキオカさんの研究に触発されて、僕も調べてみました。すると、植物を燃やした草木灰(そうもくばい)には、肥料の三要素のうち、葉や茎を育てる窒素は含まれませんが、花を開花させ実を大きくするリンと、根を育てるカリウムが豊富に含まれているそうです。なるほど、桜が咲いたのはリンのおかげかも!

さらに調べれば、もっといろいろ明らかになりそうな気がします。新しいことがわかったら、また教えてくださいね。