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空想科学ゼミ SEMINAR

疑問を抱き、材料を集め、自ら考える

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研究報告
ウクライナ民話『てぶくろ』動物たちはてぶくろに入るのか?
(板谷 佳音・トキワ松学園中学校1年)
疑問
ウクライナ民話『てぶくろ』では、おじいさんが落とした手袋に動物たちが入っていく。動物たちは、本当に手袋に入るのだろうか?

昔話紹介

ある冬、森を歩いていたおじいさんが落とした手袋の中に、寒さをしのぐためにネズミやカエルなど7匹の動物が入っていく。

材料と検証

まず、ウクライナ人の手袋の大きさと、本に書かれているウクライナにいると思われる動物の種類の体長(尾長を含むものもある)や体高をインターネットや本を使って調べた。

ファッションサイトの「おしゃれ天気」によると、ヨーロッパ人の男性の最大の手袋の縦の長さは約24cmとある。「ウィキペディア」によるとカヤネズミの体長は約8cmとあり、『ときめきカエル図鑑』(山と渓谷社)によると、ミドリヒキガエルは約9cm、「世界雑学ノート」によると、ヤブノウサギ約65cm、ホッキョクギツネ約65cm、ハイイロオオカミ約150cm、ヨーロッパイノシシ(オス)約270cm、ヒグマ約333cmとある。長さ24cmの手袋の中には入りきらないかもしれない。もしかしたら、手袋は素材がよく伸びる素材で、この動物たちが入った可能性があると仮定する。

結論と、それにより物語はどう変わる?

実は、おじいさんが落としたのは、とてもとても伸びる素材の魔法の手袋だったのです。そのおかげで、その中にネズミ、カエル、ウサギ、キツネ、オオカミ、イノシシ、クマの7匹が入ることができて、あたたかい夜を過ごすことができました。完

柳田理科雄から

「動物たちは、本当に手袋に入るのか」という出発点が、本当に面白いです!

そして、よくこれだけたくさんの動物たちの体の大きさを調べましたね。しかも、いろいろな情報源に当たっています。

ウィキペディアを使いながらも、すべてを頼らなかったのは、「なるべく使いたくなかったけど、カヤネズミだけはウィキペディアにしか載っていなかった」といったところでしょうか。苦労されたのが、よく伝わってきます。

ただ、ヨーロッパイノシシ(270㎝)とヒグマ(333㎝)がちょっと大きすぎるのではと思って、「世界雑学ノート」を調べると、ヨーロッパイノシシの体長は「150㎝(オス)」、ヒグマは「140㎝~180㎝」とありました。書き写すときに間違えたみたいですね。惜しい!

「手袋はよく伸びる材質だった」というのも、素晴らしい発想です。『てぶくろ』はたくさんの人が知っている話ですが、この発想にたどり着いた人は、世界でも多くはないでしょう。もう一歩進んで、「何倍に伸びたのか」「そんなに伸びる材質はあるのか」までで考えれば、もっと楽しい研究になったかもしれません。いろいろな可能性を秘めた研究です!