昔話紹介
悪魔は天空から人間たちを見下ろし、にぎわいながら、いい物を作りました。それは鏡です。その鏡は美しいものは醜く、役に立たないものははっきりと見えてしまうという物でした。ところが悪魔は、その鏡を途中で落としてしまいました。鏡は砕けて散らばり、そのかけらの一つが少年の目の中に入りました。少年は走って雪の女王のところに向かいました。少年と仲良しの少女は、しばらくして少年がいないことに気づき、少年を探します。長い間探して、少女は少年を見つけます。彼は雪の女王に魔法をかけられて、心が凍ってしまっていました。しかし、少女の涙で凍った心が元に戻り、記憶も取り戻して一緒に街に戻りました。
材料と検証
鏡のかけらが浮き続けているということは、重力があれば必ず物は落ちるので、悪魔のいる場所だけが不思議な力で無重力なのではないのかと私は考えました。そして、問題の粉々になった鏡はとても小さいかけらだと思います。「Hatena Blog」によると、人間の目には、見える限界があります。その限界は、0.1㎜~0.2㎜です。ということは0.1㎜以下はず肉眼では見えないことがわかります。0.1㎜以下の小ささだと考えると、肉眼では見えないので、少年は破片が浮き続けていることに気付かなかったということになります。悪魔が鏡を落としてしまった時に鏡は割れて粉々になり、宙に浮き続けました。悪魔は浮き続けていることに気づきましたが、少年はそこを通りました。しかし、実は少年には見えていませんがずっとガラスの破片が浮いていて、不運にも少年は気づかずに通ってしまったため、ガラスの破片が少年の目の中に入ったということです。ということは、ガラスの破片は複数に散らばったはずだから、複数の人の目の中にも入っているかも!!
結論と、それにより物語はどう変わる?
実は、悪魔のいる世界は全く重力がなかったのです。ガラスの破片は0.01㎜以下のとても小さい破片になってしまい、宙に浮き続けていたことに気づかず少年の目の中に入ってしまいました。おそらく、その無重力地帯は広く、悪魔のいた周辺はすべてが無重力だったため、散らばったガラスの散らばり、少年以外にも被害が及んでいたかもしれません。森の生き物はもちろん、少年以外の人間にも被害は出ていたかも…。もしかしたらあなたの目の中にも気づかないうちに入っているかもしれないですね。 完
柳田理科雄のコメント
「鏡のかけらはなぜ浮かんでいるのか」という疑問から出発し、ふと湧いた「少年はなぜ鏡のかけらに気づかなかったのか」という疑問を大切にしたおかげで、とても豊かな研究になりました。
第1の疑問は、悪魔の世界は無重力だったのでは?という想像で解決しましたが、それでおしまいにせず、第2の疑問から「人間の目に見える大きさは0.1㎜」という情報に出会い、「かけらはたくさん飛び散ったのでは?」と気づいて、「あなたの目にも入っているかもしれない」という結論にたどり着きました。この思考の旅は、楽しかったのではないでしょうか。
井口さんの研究には、僕も触発されました。鏡はいったい何個の破片に割れたのでしょう?
かけらの形はいろいろでしょうが、ここでは体積がいちばん計算しやすい立方体だと考えましょう。その体積は、0.1㎜の3乗で0.001㎜3。鏡が、ドアぐらいの大きさ(縦180㎝×横90㎝)の立派なものだとしたら、厚さが5㎜のとき、体積は1800㎜×900㎜×5㎜=810万㎜3。すると、すべてが目に見えない大きさに割れたとすると、破片の個数は810万㎜3÷0.001㎜3/個=81億個! 現在の世界人口80億人とほぼ同じ! 確かに、みんなの目に入ったかも!
ふと湧いた疑問を大切にすると、本当に、世界が大きく広がりますね。これからも、自分やみんなの疑問を大切に。