
神保町の古本屋さんに、1973年の「週刊マーガレット」が何冊か置いてあった。
どれも表紙には『ベルサイユのばら』『エースをねらえ!』『つる姫じゃ~っ!』など、メジャーなタイトルが並んでいるが、すべてビニールに包まれているので、内容はわからない。
そこで「えいや」と10月14日号(№42)を買ってみたところ、なんと『ベルばら』は、オスカルが命を落とす回だった!
バスチーユ牢獄への砲撃が続くなか、陣頭指揮を執っていたオスカルが狙撃される。
ロザリーたちが治療しようとするが、オスカルは「アンドレが待っているのだよ……」とそれを拒否し、バスチーユに白旗が揚がるのを見届けて、穏やかに死んでいく。
びっくりするほど濃厚な全21ページだった。
当時「週マ」がどのくらい発行されていたかわからないが、この回を読んで衝撃を受けた読者がたっっっくさんいたのではないだろうか。
フランス革命を題材にしている以上、ハッピーエンドは期待できないとは感じていただろうけど、最終回を迎える前に、まさか主役のオスカルが死んでしまうとは……。
しかも物語ではその少し前に、オスカルと結ばれたアンドレが戦死したばかりである。
この号の読者ページには「アンドレの死に対する、抗議と悲しみのお便りがたくさん寄せられました」と書いてあり、紹介されている手紙には「オスカルさま、つらいでしょうね。悲しいでしょうね。でもアンドレの死をムダにするようなことはしないで、いっしょうけんめいがんばってね。オスカルさままで死んでしまったら、あたし、もう生きていけない!!」とある。
それが載っている号で、恐れていたことが起きてしまった。
この手紙の主は大丈夫だったのだろうか…。
古いマンガ雑誌を開くと、こんなふうにココロを揺さぶられることに出合う。
なので神保町に行くと、くじ引きするみたいな感覚で、つい買ってしまう。