あけましておめでとうございます。
今年はヘビ年。
『ちいさないきもの くらしとかいかた』という本の「ヘビ」の項を開くと「へびのなかまは、どの生き物よりも、みんなにきらわれ、おそろしがられています」と、ミもフタもないことが書いてある。
確かにヘビを苦手とする人は多いけど、すると世界保健機関(WHO)のマークはどうなるのだろう。
地球を背景に「杖に巻きつくヘビ」が描かれており、まるでショッカーのマークみたいにアヤシイが、あれはいったいなぜ!?
調べると、ギリシャ神話がベースの「アスクレピウスの杖」というものらしい。
森の奥で山羊に育てられ、木の実や草を食べて育ったアスクレピオスは、植物の効能に精通し、やがて薬学や医学も習得して、優れた医者になった。
ついには死者までも蘇らせるようになるが、死者の国の王ハーデスがそれに怒り、アスクレピオスはゼウスの雷撃で殺されてしまう。
しかしその功績は評価され、「へびつかい座」として、南天に輝く神になった。
そんなアスクレピオスが持ち歩いた杖に、いつもヘビが巻きついていたというのだ。
しかし医神の杖に、なぜヘビが?
その理由はいくつかあって、一つは、ヘビが脱皮を繰り返すことが「再生」をイメージさせるから。
もう一つは、毒ヘビを酒に漬け込むと、医薬効果のあるヘビ酒にもなるから。まさに「毒にも薬にもなる」わけで、医学や薬学の二面性を象徴しているという。
いいですなあ、アスクレピオスの杖。
今年の空想科学研究所は「役にも立つけど、刺激も大きい」本を作りたいと思っていたので、このヘビの話は心情的にぴったりだ。
草むらをニョロニョロと暗躍する1年にしたいと思っておりますので、どうか本年もよろしくお願いします。