
本日、『ジュニア空想科学読本』シリーズ最後の第30巻が発売! 記念に、本の「まえがき」を転載しておきます。
さあ、いよいよ最終巻!
2013年6月の初刊行から12年間、30冊にわたってマンガやアニメ、特撮、ゲーム、小説、昔話などの設定やエピソードを科学的に検証してきた『ジュニア空想科学読本』も、この巻でおしまいである。
本書まで含めると、889の考察を行ってきた。われながら、たくさんやったなあ。
しかし、始めるときはそんなつもりじゃなかったのだ。
空想科学研究所の所長の近藤隆史くんが「小中学生向けの『空想科学読本』を作ろう!」と言い出したとき、筆者は14冊目の『空想科学読本』(←大人向け)を執筆中で、「時間がないし、無理では……」と難色を示した。
すると所長は「いやいや、これまでの13冊の『空想科学読本』から、小中学生が楽しめる原稿を選んで、読みやすく書き直すだけだよ。ほんのちょっとの労力で済むんだよ」と楽チンそうに語った。
実際、最初の1冊はそうやって作った。
ところが2冊目を作っているとき、所長が「1本くらい『ジュニ空』オリジナルの原稿を入れたらどうかな~!?」と、軽い感じで言ってきたのだ。
それで書いたのが「ウルトラマンvs戦隊ヒーロー」の原稿で、いま思えばこれが方向転換のキッカケだった。
その後は、続巻を出すたびにオリジナル原稿が増えていき、早くも第7巻で大逆転!
以降は、書き下ろしが中心のシリーズとなった。
おい、どこが「ほんのちょっとの労力」なんだっ!?
読者の質問を読む ⇒ 作品を味わう ⇒ 科学的に検証 ⇒原稿執筆……というプロセスは、無上に楽しいけれど時間が必要で、書き下ろしが増えると、大人向けの『空想科学読本』との両立は難しくなった。
所長に相談すると「だったら、楽しい『ジュニ空』をメインにしよう」と即決。
こうして歴史ある『空想科学読本』は、第17巻でアッサリ終わった。
あれには本当に驚いた……。
でも『ジュニ空』が楽しかったのは、ホントのホントである。
読者の送ってくる質問に大笑いし、タイトルも知らなかったマンガやアニメを見て感銘を受け、難題に答えようと計算に2日も3日も費やし、読者が知らない古い作品もあえて取り上げ、ときにはイベントを開催して読者と直に話し……。
『ジュニ空』に関わるあらゆることが、本当に楽しかった。
読者の顔や反応を想像しながら本を書く面白さを、筆者は『ジュニ空』で初めて実感したと思っている。
書き手としてモーレツに幸せなことであり、それを教えてくれた読者の皆さんに、心から感謝したい。
『ジュニア空想科学読本』は終わるけど、空想科学研究所が全国の学校に送っている「空想科学 図書館通信」は発行を続けるので、興味のある方は先生や司書さんにお願いして、図書館で受信してもらってください。
学校には無料で送っています。
では、またどこかで皆さんと再びお会いできる機会があることを心から願いつつ、さあ、最後の『ジュニ空』を楽しんでおくれっ!