研究資料 空想科学研究所
推薦図書
主任研究室の本棚に並ぶ数々の科学の書。
その中から読者の皆さんにぜひ読んでいただきたい本を、紹介していきます。
『雲はなぜ落ちてこないのか』
(佐藤文隆/岩波書店)
書名の質問を子供にされたら、あなたはどうしますか。疑問に思ったこともない問題を急に持ち出されると、誰でも慌てて、何とかその場を凌ごうとするのではないだろうか。
そういうとき、著者の佐藤文隆氏は、疑問にゆったりと身をゆだねる。すると、そもそもなぜ空気は落ちないのか、なぜ雲だけ言われてみれば落ちそうな気がするのか、新たな疑問が次々に湧いてくる。謎の林を巡るうちに、いつか雲が落ちてこない理由と、星が生まれるメカニズムに深い関係があることに気づく。そうした「科学の旅路」を追体験させてくれる本である。
難しい話も出てくるが、そこは読み飛ばしてもいいと思う。疑問をパッと解決するよりも、立ち止まってあれこれ考えるほうが、実りは多い。佐藤氏は、このことを繰り返し説いているように思える。子供が疑問を発見したら、まずその不思議さに共感し、ゆっくり考える。それこそが大切だと改めて感じた。